真美は
美にあらず

真美とは、私たちが日常話題にする美とは異なるもの。

学問が生まれて以来求められてきたこの世界の真理、普遍的価値、真善美の一角、その最後の砦として残されている形而上の世界。

真偽も善悪も美醜も超えた、対立概念とは別の次元にある本当にうつくしいものとはなにか。

価値観が多様化する世界で私たちが今考えなければならないのは、真美の領域ではないだろうか。

言葉を通して
真美を探究し
人と世界のあり方
について知る

答えのない時代と言われているらしい。

しかし、答えが用意されていた時代など本当にあったのだろうか。

答えだと思われていたものは、いつも私たちを裏切ってきた。

そんな中でも本物の答えを教えてくれたのは、科学でもなく経験則でもなく、いつの時代も詩だったのではないだろうか。

ウィリアム・ワーズワース曰く「詩はあらゆる知の始まりであり終わりである」

言語芸術たる詩を通して真美を考えることは、人と世界のあり方を教えてくれるに違いない。

日本語は真美を
示しうるか

それぞれの言語には特徴があるが、日本語は真美を探究することにおいては欠かせないどころか、その可能性が残された唯一の言語かもしれない。

真理を探究してきた東西の哲学者たちがたどり着いたのは、言葉を使わなければ考えることも認識することもできない人間にとって、矛盾こそが人生、矛盾こそが世界ということ。

日本語はその矛盾を矛盾のまま受け入れているかのような表現が多い。曖昧模糊として明瞭さに欠けると批判されがちな言葉である一方で、ほんとうにうつくしいものを語ることのできる言葉でもある。

それは論理や理性だけでは捉えることのできない、自他を超えたところに確かに在る、なにかしらの領域なのだろう。